2004年4月21日ビフテキの復権を小学生の時、何年生だったかは忘れたが、生まれて初めてビーフステーキを食べた。静岡での旅行先だったはずである。そのステーキは、今でも覚えているが大変な「ウェルダン」に焼き上げられていて、色は黒くなり肉が硬くなっていた。だから、今ならまず手をつけない類の肉であった。私は牛肉を、ミディアムレアで食べるのが好きなのだ。 その肉の硬さと、私自身ナイフとフォークで肉を切るのに慣れていなかったこともあり、食べるのに大変難渋した。あまり力を入れて切ろうとするものだから、しまいにはナイフを持つ左手の筋が痛くなってしまったほどだ。その時の肉の味は殆ど覚えていないが、腕の痛みだけは明確に覚えている。 だがそれ以来、ステーキは私の好物になった。いや、当時はまだ「ビフテキ」と呼ぶ人も決して少なくなかったと思う。だからいまだに「ステーキ」よりも「ビフテキ」と言う呼び名のほうに、何となくノスタルジーを感じてしまう。子供の頃、すき焼きが家庭で食べる肉料理の王様であったことは前にも書いたが、レストランで食べるビフテキは、まさに外食の帝王であったと思う。鮨やうなぎ、フグ鍋などの良さまでは、理解出来る年齢ではまだなかったのだ。 今ではすき焼きもビフテキも王座を退き、焼き肉や或いはしゃぶしゃぶ辺りを好む人が多いのであろう。だが、それって日本人の嗜好がちょっと軟弱になってしまったという事ではないだろうか?すき焼きのコッテリ感、またはビフテキの重量感に比べれば、焼き肉やしゃぶしゃぶは軽量・高性能といったところだ。ビフテキが昔のアメ車にたとえるならば、焼き肉は軽量・小型で小回りが効き、燃費も良い日本車とでも言うところだろうか。 確かにビフテキには、大味なところがある(高級な和牛ステーキは除く)。だが、腹にしっかりと「肉を食ったぞ!」という、充実感を与える事が出来るのはビフテキの方であろう。そして日本人がビフテキに憧れたあの時代は、日本が戦後最も元気で、活気ある時代でもあったのだ。「低カロリーでいいね」なんて言うのも良いが、たまには血の滴るようなビフテキに全力で取り組み、気合を入れて食べてみろと言いたい。世界では、まだまだ「ビフテキの時代」は続いているのだ。 (文中敬称略)
カンカン娘前から疑問に思っていたのだが、「カンカン娘」の「カンカン」とは一体何であろうか?まさか怒っている訳でもあるまい。と言っても、この言葉自体はもう完全な死語だ。今の若い女性に対して使う言葉ではあるまい。 「銀座カンカン娘」という歌がある。♪あの子可愛いやカンカン娘 という出だしは、おそらく若い人でも知っている人がいるかもしれない。この曲が何時の曲か分からないが、曲調や「銀座」という舞台設定からして、おそらく戦前か、あるいは戦後に作られた曲に違いない。戦時中では絶対無いだろう。 で、調べてみたらこんなのが出てきた。参考:jmdb 1949年の新東宝映画だ。脚本が 山本嘉次郎で、そして出演者が凄い。高峰秀子に灰田勝彦、そして笠置シヅ子に、ここまでは分かるが、なぜ志ん生が?これは一体、どういう映画なのだろう。そして、この作品の主題歌が「銀座カンカン娘」なのか、それとも同名の曲が大ヒットしたので、便乗して映画を作ったのだろうか?? もうちょっと調べてみた。参考:goo映画 志ん生は、落語家の役で出演。まぁそんな所だろう。で、この映画の主題歌は、どうやら高峰秀子が歌っていたようだ。と言う事は、やはり映画の主題歌がヒットした事が分かった。ただ分からないのは、「カンカン」の意味である。そこで思い切って辞書で調べてみた。最初からそうしろ、とか突っ込まないように。 カンカン:19世紀後半にパリで流行したショーダンス。長いスカートをまくりあげ、足をはねあげて速いテンポで踊る。フレンチカンカン なるほど…つまり、フレンチカンカンを踊るショーガールがカンカン娘なのか。じゃあカンカン帽というのもそこから来ているのであろうか。これはちょっと違う気がする。まぁそれはともかく、この映画を一度見てみたくなってきた。顔ぶれからしても、かなり面白そうではないか。 (文中敬称略) 2004年4月19日腐っても鯛いまだにその良さが、よく分からない魚に鯛がある。正月になると、鯛の塩焼きが必ず食卓を飾ったのだが、あまり好きではなかった。その印象が今でも強い。タイの刺身などは決して嫌いでは無いのだが、どうしても食べたくて仕方が無い、というほどのものでもない。 しかし「腐っても鯛」という言葉があるように、鯛という魚はやはり魚の王様である。そして料理のバリエーションが多い、料理人冥利に尽きる魚なのだそうだ。特に瀬戸内海で取れる天然物の鯛は、非常に美味しいという。これは一度、現地で食べてみたい。 そういえば、むかしTV番組で「鯛茶漬け」を作っていてこれは旨そうだった。鯛の刺身を熱いご飯に乗せてお茶をかけて食べる…どんな味付けだったかすっかり忘れてしまったが、刺身を乗せて熱いお茶を乗せて食べるのもなかなか美味いものだ。だから鯛でもけっこういけるだろう。また鯛めしもだしがよく出て美味いと聞いた。 しかしもっと興味があるのは「鯛そうめん」である。鯛を醤油ベースのだしで煮て、その煮汁をそうめんのつけ汁に用いる。大皿にそうめんを盛り付け、その上に鯛の姿煮を乗せれば豪勢な感じがするに違いない。一度作ってみたいが…
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