過去のコラム

2004年3月28日

痛ましい事故からの教訓

あまりこういう話題は扱いたくは無いのだが、やはり取り上げないわけにはいかない。六本木ヒルズで発生した子供の死亡事故には、心が痛んでしまった。まだ幼い子がこんなことで命を落としてしまって、本当に気の毒という他無い。

しかも恐ろしい事に、過去にも同じような事故が起きていたにもかかわらず、効果的な対策を打てていなかったと言うのには呆れるばかりだ。杜撰、というほかは無い。人間の命を、安全性というものを軽く見すぎている。ミスが小さな段階で適切な対策を施していれば、今回のような事故は未然に防げたはずだ。だからこれは立派な人災であろう。ビル会社の社長は「大きな事故という認識をしていなかった」と言ってるが、小さな子供も利用するのだということを考えれば、やはり安全管理に落ち度があった、という気がする。参考記事

だいたいあの回転ドアというのは、大人でも結構おっかなく感じる時がある。事故防止用にセンサーなどが付いているようだが、タイミングが悪いと挟まれてしまいそうな気がするのは確かだ。まして子供を連れている親御さんにとっては、入る時に子供がケガをしないか、気が気ではないと思う。でも、自分がそういうタイプの子供だったからよくわかるのだが、ああいう回転ドアとかにはもう一刻も早く入りたくて仕方がないのだ。その辺を十二分に考慮してもらいたかったと思う。だからその責任は極めて重大と、現時点では考える。

もちろんその一方では、親御さんが子供に対して厳しくしつけ、危険性を教え込んでいくのは当然の前提であろう。どこに危険が待っているか分からないからこそ、出来うる限りの自衛手段をとっていく事も大切だと思うのである。それには、親が子供への厳しさを忘れてはならない。今回の一件とはもちろん全く関係無いが、若いパパ・ママ達の中には、ちょっと首をひねりたくなるような態度の人が多いのも確かだ。子供にどうこう教える前に、まず親御さん向けのセミナーが必要かもしれない。

(文中敬称略)


 

2004年3月27日

東京はどこにある

ニューヨーク・ヤンキースとタンパベイ・デビルレイズが、日本で開幕戦を行うために東京へと旅立っていった。東京ドーム、いや日本中で、熱狂的な松井フィーバーが巻き起こるのは確実であろう。ニューヨークのスポーツメディアでは、日本や東京の映像を繰り返し映しだした。

東京という街を私がはじめて知ったのは、たぶん4−5歳の頃だったと思うが、はっきり何時だったかは覚えていない。この頃はちょうど1970年の大阪万博、そしてアポロ11号を頂点とする、月探索飛行への人気が高まっていた時である。私も子供ながら、宇宙へと飛び立っていくアポロ・ロケットに、大きな興味を持っていた。また日本には、東京という大阪より大きな街がある、こんな事も覚えた。たぶん絵本か何かで読んだのではなかろうか。

ある日私は、大人たちにこんな事を尋ねた。
「東京はどこにあるの?」「遠いところやで」

またこんな事も尋ねた。
「月って遠い?」「そら、遠いところや」

東京は遠いところにある。月も、凄く遠いところにある。じゃあ、東京は月にあるんや。私はこう考えた。満月の夜、夜空にぽっかり浮かんだ月を見ながら「一度は東京に行ってみたいなぁ」と考えた。

初めて東京に行ったのは18歳のときだった。月にはまだ、行った事が無い。

(文中敬称略)

 


2004年3月26日

遅れてオリビアブーム 

先日、オリビア・ニュートン・ジョンのベスト盤を購入した。日本では昨年オリビアがツアーを行い、ちょっとしたリバイバルブームが起こったことは聞いている。そのブームからはかなり乗り遅れてしまったが、CDを聴くことでこの懐かしい歌手の、ヒットナンバーの数々に触れる事が出来た。実際、まとまった形で彼女の曲を聴いたことが今まで無かったので、あ、この曲も元はオリビアだったのかという発見が幾つかあった。

私が中学生の頃好きだったのは「ザナドゥ」である。これは同名の映画の主題曲だ。映画自体は、かなりつまらなかった記憶があるのだが、オリビアとELOが歌った「ザナドゥ」は、ポップ感溢れる私の好きな曲だった。今聴いてみても、この曲は楽しい。ところで「ザナドゥ」とは、いったい何を意味するのかご存知であろうか。英語で書くとXanadu だ。英語辞書を引いてもらえばわかるが、Xで始まる単語と言うのは殆ど無い。そしてザナドゥには「理想郷、桃源郷」と書いてある。

ザナドゥとは元の皇帝、クビライ・ハンが築いたモンゴルの街「上都」の転化したものらしい。この街のことを「東方見聞録」を書いたマルコ・ポーロが瀟洒な美しい都市として紹介した事から、ザナドゥが理想郷として欧州で語られるようになったそうである。

(文中敬称略)


2004年3月25日

チョココロネ  

最近マイブームなのが、なぜかチョココロネである。中のチョコクリームがあまり甘くなく、ほろ苦いタイプなのがより美味しい。このパンは主に日系のスーパーで買うのだが、似たような種類のものは他のベーカリーでも売っている事がある。だがクリームの味は、やはり慣れ親しんだ日本のものが一番美味しく感じる。これを熱い、苦いブラックコーヒーと食べると、なんとも言えず幸せな気分になってくる。

チョココロネ、一体どこで作られたのが始まりなのであろうか。私は知らないが、それはこの際問題ではない。実はこのパン、なかなか食べ方が難しい。ご存知のように、ほら貝のような形のパンの中に、チョコレートのクリーム、というかもっと硬いペーストのようなものが注入されている。

ただし問題は、その下端に大きな穴が開いている事だ。つまりここからチョコクリームを押し込んだだけで、蓋をしていないのである。実に不親切極まりない設計だ。そして先端部分には、大抵の場合、チョコクリームは到達していない。したがっていきなり上からかぶりつくと、チョコも何もない、実に味気ない味のパンを食べる羽目になってしまう。パンはチョコクリームと一緒に食べる事を考えている為、殆ど何の味も付けられていないのである。

そしてもっと大事なことは、あまりパンの中央部分を強く持つと、チョコが下から漏れてくる場合があるのだ。冬場はあまり問題ではないが、気温の高い夏にはこれがシリアスな問題となる。ドロドロに解けたクリームが、ドロドロと落ちてしまう危険性が出てくる。

そこで、先端部分のパンを少しちぎりとって、尻の方にあるチョコクリームをなすりつけて食べる。ちぎってはクリームをこすりつけ、ちぎってはこすりつけしているうちに、ようやく押し込まれたチョコクリームの先端部分が見えてくる。この辺からは、もう普通に食べてよい。食べてよいのだが、だが気をつけないといけないことがある。パンの一番下の部分、つまり穴が開いている箇所には、予想以上のチョコが注入されていることが多く、初期の段階で充分な量のチョコを取り除いておかないと、最後の方はかなり大量のチョコクリームが残存している可能性が高いのだ。そんなものを食べると口中がチョコクリームだらけになってしまい、さすがに気持ち悪くなってしまうのである。しかもたちの悪い事に、大きな穴が開いているから、チョコクリームの接着度が低いと、最後の最後でパンからバサッと外れて落ちてしまう可能性さえあるのだ。

そう考えるとこのチョココロネ、なかなか食べるのが難しいパンであることがお分かりいただけるであろう。子供の頃から私はコロネを食べているが「ああ今日はコロネを完全攻略したぞ」という満足感を抱く事に喜びを感じてきたように思う。ひょっとしたら味そのものより、いかにパンとクリームの量を当分に食べる事が出来たか、そちらに主眼を置いているのかもしれない。

あと、最近大失敗した事がある。寒い冬の日、買い置きしておいたコロネが冷え切ってしまいいかにも寒そうだったので、ほんの数秒だけレンジで暖めようとした。私は10秒も温めていないつもりだったが、実際には15秒ほど加熱していたようだ。ふと気が付いてレンジの中を覗くと、そこには凄惨な光景が広がっていた。中のチョコクリームが、全て溶け出して流れていたのである。こうなってしまうと本当に寂しい。パンはグチャグチャ、そしてレンジの中はチョコの海だった。私はガックリしながらパンをゴミ箱に捨て、一人黙々とレンジの中を綺麗にふき取った。

それに、自分で即席チョココロネを作った事もある。最初はロールパンに、ただスーパーで売られているチューブ状のチョコクリーム(ハーシーズ製)を付けてみたが、これは明らかに味が異なった。第一、クリームが緩すぎた。そこでホイップクリームとあわせてみたが、これは少し味が近くなった。だが、まだクリームが柔らかすぎた。あの硬さを出すのはなかなか難しいようだ。パンから作ろうと思えば、おそらくもっと難しいであろう。

食べる難しさ、そして作る難しさ。まさに「コロネ道」を感じさせてくれる、奥の深いパンである。心して食うが良い。

(文中敬称略)


2004年3月24日

ケイシ−・ケラー

イングランドのプレミアシップ、マンチェスター・ユナイテッドとトットナムの試合が先週行われた。結果は3−0と、先制しながらも追加点が取れずに苦しんでいたユナイテッドが、最後に2ゴールを挙げて突き放した。だが私にとって残念だったのは、ユナイテッドのアメリカ人GK、ティム・ハワードが出場しなかった事だ。

敗れたトットナムの正GK、ケイシ−・ケラーは試合に先発出場した。このゴールキーパーは私のお気に入りである。実はケラーも、ハワード同様アメリカ人だ。アメリカ人のGKが、いまイングランドのプレミアシップで活躍している。アメリカはサッカー不毛の地…なんて、いまだにしたり顔で言う人もいるが、2002年ワールドカップベスト8の国なのだから、いまや立派なサッカー大国の一つであろう。ましてやアメリカ人が、サッカー母国イングランドの強豪でゴールを守っているのである。これは考えてみれば凄い事だと思う。野球でたとえて言うならイギリス人選手が、ヤンキースやドジャースの捕手を務めているようなものだろう。そしてケラーは、アメリカ代表のGKでもある。私はケラーと、ハワードのアメリカ人GK対決を楽しみにしていたのだ。

ケラーは、若い頃からずっと欧州でプレーしている。特にイングランドでのプレー歴は長いので、当地のファンには大変有名な選手だと思う。ところがアメリカでは、ケラーは無名である。アメリカの男子代表チームに無関心な人が多い為だ。だから上で否定した「サッカー不毛の地」というのは、実はちょっと当たってもいる訳で(どっちやねん)辛いけど、しかし私はこういう選手が好きである。つまり「本国では無名だけど海外では有名」。そりゃ本国でも有名になった方が良いのだろうが、一歩国外に出たら有名というのもなかなか格好良いではないか。

アメリカのサッカーが強くなったのはMLSの存在と、そしてケラーを初めとする多くの選手が欧州に定着したのが大きい。若い層からも良い選手が出てきているし、今後20年以内にはアメリカが、ワールドカップの決勝に出てくる可能性は大きいと今から予想しておきたいと思う。その代表チームの監督がケラーだとまた嬉しい。

 

 


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