「情報総合学」って何?(上)
仕事をしている人でも、勉強をしている人でも、もっと効果的に学びたい、情報を収集・整理したい、そして自分の考えを上手く人に伝えたい−こう考えている人は意外に多いのでは無いでしょうか。
私自身もなにをかくそう、こどもの頃から「情報収集−管理、活用、発信」といった分野にはたいへん興味がありました。自分なりにいろいろ工夫して学んできたつもりですが、まだまだもっと上手くやれるのではないか、などと思っています。
ところで皆さんは、「宇宙船ビーグル号の冒険」というSF小説を読まれたことがありますか?私は中学生の頃、この本を読んだことがあります。A・ヴァン・ヴォ−クトという作家が書いたSFの古典的作品です。この小説の主人公は、エリオット・グローヴナー。多くの科学者が乗り組む宇宙船の中に、ただ一人派遣された「ネクシャリスト」が、このグローヴナーでした。
ではネクシャリストとは何か?それは「情報総合学(ネクシャリズム)」と言う学問を修めた者を指して呼びます。未来世界では、個々の学問分野が高度に発展した結果、科学者達が自らの専門分野に精通した反面、他の学問や互いのことが分からなくなってしまった。そこで学問分野間の横断・橋渡しを行い、知識を再構築しながら、実際の問題解決に役立るとするために生まれた学問、それが情報総合学…だったと思います。何しろ20年前に読んだきりなので、よく覚えていません、ごめんなさい。
しかしその「情報総合学」と言う架空の学問が、私の心の中にずっと引っかかっておりました。もちろん科学の事などさっぱり分かりませんが、そんな事が出来る人がいたら本当に凄いな、などと思ったものです。
実際の学問の世界でも、異なる分野の学者達が集まって、単独の学問では解決できない問題に立ち向かう「学際協力」と言った試みが盛んに行われているようです。もちろん皆さんの仕事においても、異なる分野の専門家が集まり、複雑なプロジェクトに共同で取り組む…と言ったことがあるでしょうね。
そういったときに大切なのは
・何が問題なのか
・問題点の原因は何か
・いかにして問題を解決するか
・そのために必要な情報は何か
・必要な情報をいかに獲得するか
・情報にいかに活用し、共有するか
などの事柄について、明確に把握しておくことでしょう。そうして初めて、情報の収集にあたる訳です。問題点を明らかに出来ないで、ただやみくもに情報を収集しても意味がありません。その上で、効果的な資料収集の方法、資料の読み方、考えをまとめて人に伝えるといった技術を高めることが必要になって来ます。
そしてこういった技術は、皆さんの生活や趣味の領域、つまり「遊び」の部分でも有効ではないでしょうか。何か知りたいこと、やりたいことがあるがどうすればいいか分からない、どこに必要な情報があるか分からない。情報はあるが、どれが必要な情報なのか分からない。学び方が分からない。自分の考えを公開したいが方法がわからない。上手く伝えられない…
そこで私は、この「情報総合学」を新たに
「インターネットや本・雑誌など、巷に氾濫する情報を効果的に利用し、知的に遊ぶことに役立てる為のツール」
と、やや強引ではありますが、規定したいと思います。そしてその為の方法を、いろいろと考えていきたいと思います。
もちろん私も素人の領域を出ませんが、自分なりの方法と、そして世の「知的遊びの達人」達のアイデアを公開して、皆さんの知的遊びの手助けになれば、と意気込んでおります。
どうぞ、今後ともよろしくお願いします。 (続く)
|